
透過型LEDビジョンは、シースルービジョンやガラスビジョンとも呼ばれ、背景が透けて見える透明性が特徴のLEDビジョンです。通常のLEDと比べて光を80%以上通過させられるので、窓に設置しても、視界をさえぎらず、室内の明るさを維持できます。この記事では透過型LEDビジョンについて、特徴やメリット・デメリットを解説します。
透過型LEDビジョンの特徴
透過型LEDビジョン(Transparent LED Display)は、透明な構造をもつLEDディスプレイです。特徴は名前のとおり、映像を表示しながら背面を「透かして見せられること」です。
通常のLEDビジョンとは異なり、LEDモジュール(赤・緑・青の複数のLEDを搭載した小型のパネル)の間に隙間を設けたり、特殊な透明基盤にLEDを組み込んだりすることで、視界をさえぎらずに映像を表示できる仕組みです。
ガラス壁面やショーウィンドウ、屋外用のデザイン演出に活用されることが多く、近未来的なビジュアル演出が可能です。
透過型LEDビジョンを導入するメリット
透過型LEDビジョンを導入する最大のメリットは、従来のLEDビジョンにはない特徴が多くあります。具体的なメリットを以下に紹介します。
デザイン性の向上
透過型LEDビジョンの最大の特徴は、その「デザイン性」にあります。従来のLEDビジョンは視界を完全に塞いでしまいますが、透過型LEDは背景を透かしながら映像を表示できるため、視界をさえぎりません。
ガラス面に設置することで、外の景色や店内の雰囲気を保ちながら情報を発信することができます。また、通常型LEDを背景に使い、透過型LEDを設置することで、立体感のある視覚効果の高い演出も可能です。
軽量で設置が簡単
透過型LEDビジョンは薄型・軽量であるため、設置や移動が容易です。従来のLEDビジョンと比べて、建物の壁やガラスにも直接設置でき、特別な工事が必要ないため設置コストも低く抑えられます。
窓ガラスに貼り付けるタイプなら、スピーディに設置・取り外しができ、準備期間が短い場合にも対応可能です。
省エネ性能の高さ
透過型LEDビジョンは発光部分が少ないため、従来のLEDビジョンよりも消費電力を抑えることができます。これにより、ランニングコストを削減することができ、企業や商業施設にとっては大きな利点です。省エネ性を重視した運用が可能です。
屋内外で利用可能
透過型LEDビジョンは屋内外どちらでも利用できるため、非常に多用途に対応します。屋内ではショーウィンドウや店舗のディスプレイに活用でき、屋外では建物の外壁やガラスファサードに設置することが可能です。
これにより、アイデア次第で斬新な演出が実現でき、イベントやキャンペーンなどに柔軟に対応できます。
空間を有効活用できる
透過型LEDビジョンは高い透過率(50~90%程度)を選べるため、開放感を確保しつつ、空間を有効活用することができます。店舗や建築デザインに合わせて最適な透過率を選び、デッドスペースを利用して、内装や商品を見せながら広告を流すといった運用が可能です。
透過型LEDビジョンにはデメリットもある
透過型LEDビジョンには多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットも存在します。とくに注意が必要なポイントを以下にまとめました。
屋外での視認性の低下
透過型LEDビジョンは背景が透けるため、通常のLEDビジョンよりも輝度が低くなる傾向があります。とくに晴れた日中など、明るい屋外環境では視認性が低下する可能性があります。
そのため、屋外で使用する際には高輝度タイプを選ぶ必要がありますが、高輝度タイプは消費電力が高くなることが多いため、ランニングコストの増加を考慮しなければなりません。
製品コストの高さ
透過型LEDビジョンは、通常のLEDビジョンと比べて技術的に高度な設計が求められます。このため、製品コストが高めになることが多いです。ただし、屋内での運用や夜間のみの使用、省エネ性能付きの製品を選べば、長期的な運用コストを回収できる可能性もあります。
細かい映像や文字の視認性が低い
透過型LEDビジョンはピクセルピッチ(LED間の距離)が比較的大きいため、細かい映像や文字が見づらいという特徴があります。そのため、高精細な映像を表示する用途には向いていません。近距離での視認性が重要な場合は、ピクセルピッチが小さい(2~5mm程度)製品を選ぶことが重要です。
屋外設置時の防水機能の必要性
透過型LEDビジョンの多くは屋内運用を想定しているため、防水機能がないものもあります。屋外に設置する場合は、IP65以上の防水仕様を選ばなければなりません。
IP65は、防水や防塵に関する等級で、強力な噴流水がかかっても影響を受けないことを示しています。強い風や水没のリスクがある環境では、さらに高い防水等級(IP66~IP68)の製品を選ぶことが求められます。
設置や運用における慎重な検討が必要
透過型LEDビジョンは、風や衝撃による破損を避けるため、設置場所や運用方法を慎重に検討する必要があります。とくに屋外での設置には、耐久性や安全性を考慮した製品の選定と適切な設置方法が求められます。
まとめ
透過型LEDビジョンは、デザイン性・省エネ・視界の確保といったメリットを活かし、ショーウィンドウ、商業施設、建築ファサード、展示会、高級レストランなど幅広いシーンで活用できます。デメリットは高コストになりやすいことと、高精細な映像には不向きなこと、明るい屋外では視認性が低下することです。また、屋内用製品の場合は防水機能がないものも多いため、屋外設置の場合はIP65以上の防水性能をもつ製品を選ぶことも大切です。導入の際は、視認性・設置環境・コスト・防水性を考慮し、最適な製品を選びましょう。